エアライフル選び

空気銃の種類

空気銃というのは、空気または不燃性ガスを用いて弾丸を発射する形式の銃のことを指す。

所持許可を必要とする空気銃の構造としては、ポンプ式、ガス(CO2)式、プリチャージ(圧縮空気)式などがあるが、現在主流となっているのは、プリチャージ式である。これは、銃に取り付けてあるエアシリンダー(チューブ)に200気圧ほどの高圧空気を充填し、引き金を引くことによりその圧縮空気の力で弾丸を発射するものである。

わが国で所持許可を得て所持することができる空気銃はエアライフル、エアハンドライフル、エアピストルであるが、初めての所持許可申請で所持することができるのはエアライフルとエアハンドライフルである。このうちエアライフルは狩猟用としても使用されるが、ここでは標的射撃競技用のものに限定して解説する。(競技用エアライフルは精密射撃用で、狩猟に用いることはない。)

エアライフル

エアライフル

画像:Carl Walther GmbH

エアハンドライフル

エアハンドライフル

画像:銀座銃砲店

エアピストル

エアピストル

画像:Carl Walther GmbH


<エアライフル(AR)>

エアライフルは、現在オリンピック・パラリンピック競技などにも採用されているライフル射撃種目にも使用されているもので、口径4.5mm(Cal.177)のペレットと呼ばれる鉛の空気銃弾を発射するものである。ペレットの頭の形状は平らになっている。標的射撃競技用のエアライフルは装弾数1発のみで、発射するごとに次弾を手動で装填する。

10m競技では、フロントサイトとリアサイトを使用して照準し、ランニングターゲットと呼ばれる競技では光学スコープを使う。

わが国で主流なのは10mエアライフル競技であり、標準的なエアライフルの重量は4~5kgである。(競技射撃ルール上の最大重量は5.5kgまで。ビームライフルも同じ。)

 

参考までに記すと、狩猟用として使用される空気銃(エアライフル)は、口径が4.5mm(Cal.177)、5.5mm(Cal.22)、6.35mm(Cal.25)の3種類が主なもので、主流は5.5mmを使用するものが多い。ペレット(空気銃弾)の頭の形状も競技用のものとは異なり、半球形や尖っているものを使う。有効射程距離は30~50mぐらいらしい。

なお、空気銃自体は所定の手続きを踏めば14歳から所持できるが、銃砲による狩猟免許は20歳にならないと取得できない。

また、国内のエアライフル射撃場においては、口径やパワーに制限があるところが多く、ほとんどは口径5.5mmまでのエアライフル限定で、4.5mmでも狩猟用不可の射撃場もある。詳細は訪問前に各射撃場に確認が必要だ。 

 

<エアハンドライフル(HR)>

わが国だけに存在するライフルの一形態で、エアピストルを本体とし、グリップ部分にライフル銃のようなストックを装着し、銃身を改造して延長することで銃の全長を長くして、エアライフル(空気銃)の基準に合わせたものである。機関部には手を加えられていない。

ライフルとはいえ、射撃姿勢はエアピストルに準じ、片手で構えて撃つ。将来エアピストルへ移行することを意識して練習に励む人が多い。使用するペレット弾はエアライフルと同じ4.5mmだが、標的が若干異なる。エアライフルのような射撃コートなどは着用しないので、装備品もかなり少なく、エアライフルよりは手軽ではある。

購入の際は、原則として、エアピストルを銃砲店にてハンドライフル仕様に改造してもらう。改造に掛かる費用は、グリップの変更と銃身のエクステンション加工で6~7万円程度である(銃器公認シール含まず)。

改造されたエアハンドライフルの重量はおおむね1.3~1.5kg(ルール上2.0kg以内)になる。

 

<エアピストル(AP)>

エアピストルは登録上「空気拳銃」という扱いになり、その所持は簡単ではない。エアライフル(ARS)種目による初段ないしハンドライフル種目にて初段以上の段位を持ち、協会加入1年以上かつ公式競技に年2回以上出場経験があり、協会の試験に合格していることが最低条件で、さらに全国で500人に絞られている許可枠の中で指名推薦を受けなければならない。

所持できたとしても、単純に所持許可の更新が行われるわけではなく、2年ごとに新規に推薦を受けて許可申請する必要があり、大会参加の実績やそれ相応の成績も要求されるという。

エアピストルの重量は1kg前後である。

なお、エアピストルのトリガーの重さは、ルール上500g以上でなければならないと決められている。エアライフルのトリガーは50g前後だから、それに比べるとかなり重く感じるだろう。銃器を選ぶ際には、グリップとトリガーのフィーリングが大切だそうである。


エアライフルか、エアハンドライフルか

エアライフルは本体重量が4~5kgもあり、またシューティングスタンドやコート(ジャケット)など装備もいろいろ必要で、それらすべてを射撃場へ自ら運搬しなければならないことを思うと、障害で身体が不自由な私は、比較的身軽なエアハンドライフルにしたほうがよいかなぁと、当初悩んでいたこともあった。

エアハンドライフルは本体が重くても1.5kgぐらいだし、スタンドやコート(ジャケット)などの重装備も必要がない。ビームライフルに通っていたころ、体育館でお会いするハンドライフル射手の方々を見ていると、ケースもこじんまりしているし、(実際の試合はじゅうぶんタフなのだが、)第一印象としてはとてもフランクに見えてしまった。それで、この際、エアライフルではなくハンドライフルにしようかと思ったこともあった。(地元の射撃協会の方にもお勧めされたりして、一時かなりその気になった。)

しかし、銃砲店の方に「エアライフルとハンドライフルはまったく別物ですよ」と言われて、最終的にエアライフルを持つことに決心したのだった。(結果、正解だったと思っている。)

エアハンドライフルは、将来エアピストルへ移行することを意識して練習に励む人が多く、形や名称こそ「ライフル」だが、それ以外はエアピストルそのものだ。エアライフルにするか、エアハンドライフルにするかで悩む場合は、長物であるライフルにするか、拳銃であるピストルにするかの選択を意味するのだと捉えて、よく考えてみよう。


エアライフルメーカー

現在エアライフルの主流はプリチャージ(圧縮空気)式で、その競技用の機種を販売している主なメーカーは下記のとおりである。すべて欧州のメーカーで、所定の所持許可手続きを経て、日本国内の銃砲店で購入することができる。

 

値段は新品で1丁20~50万円ぐらいで、付属品として、エアシリンダ1本、リアサイト+フロントサイト、ハードガンケース(トランクケース)などが付いてくるのが普通だ。メーカーによって、ハイサイトブロックやウエイト、スペーサー、クリーニングキット、ツールなど付属する内容に違いがある。

 

また、メーカーやモデルによって異なるが、グリップ(引き金を引く手で握る部分)のサイズにSやMの設定があったり、右利き用・左利き用のセッティングが別だったりする。メーカーによっては左右兼用モデルも存在するが、一般的なのは右利き用モデルだ。左利き用モデルが必要ならば別に注文する。

本体の重量もモデルによって差があるが、微妙なバランスなどはウエイト(おもり)を後付で装着することで調整できる。

 

銃砲店は潤沢に在庫を有しているわけではないので、たとえ右利き用の一般的なモデルであっても、希望の色などがあるとは限らない。本国から取り寄せるとなると1ヶ月以上、場合によっては数ヶ月待たなければならないことも普通にある。これは所持許可申請時に準備しなければならない書類(譲渡等承諾書)にも影響するので、思い立ったら早めに問い合わせをすることだ。パーツ類も同様である。

 

競技用エアライフル銃のメーカーで最も一般的なのは、「ワルサー」、「ファインベルクバウ」、「アンシュッツ」の3社だろう。いずれもドイツのメーカーである。そのうちファインベルクバウは非常に高いシェアを誇っている。

下記の画像をクリックすると各メーカーの公式サイトへリンクするように設定しておいた。なお、画像は各メーカーの一例モデルにすぎない。

ライフルショップ・エニスや銀座銃砲店では、会員になると販売カタログを送付してもらえるので、入手可能モデルやお勧めモデルなどを知ることができる。

画像:各メーカー公式サイトより


ワルサー

Walther
Walther

ドイツの総合銃器メーカーで、軍用銃メーカーとしても有名なせいか、日本でも名前を知っている人が多い。

私が所持する銃もこのメーカーのもので、射撃場や大会のビデオなどでもしばしば見かける。

ペレット(銃弾)を装填する方法が独特で、指が不自由な私は重宝している。トップモデルで比較すると重量も僅かだが軽めに設計されている。


ファインベルクバウ

Feinberkbau
Feinberkbau

ドイツの競技銃専門メーカーで、競技用エアライフルでは圧倒的なシェアを誇る。それゆえ、銃砲店でのパーツなどの在庫は比較的よく揃っているように思う。

エアライフルを始めるにあたっては、使用している先輩方も多いので、アドバイスを受けやすいようだ。

日本では「バウ」と略して呼ぶこともある。


アンシュッツ

ANSCHUTZ
ANSCHUTZ

ドイツの最も古い競技銃専門メーカーである。スモールボア(SB)などの競技用の装薬銃では高いシェアを持っているようだ。エアライフルでも歴史は長く、根強いファンがいる。

射撃用品の「ahg Anschutz社」はアンシュッツ社と兄弟関係にあるらしい。



ステイヤー

STYER
STYER

オーストリアの射撃競技銃メーカー。

軍用銃で有名なSTYERからスポーツ競技銃部門を分離させ、現在STYER SPORT社として競技銃を製造販売している。

日本ではエアピストルのシェアが高いようだ。


テスロ

TESRO
TESRO

ドイツの競技銃専門メーカーである。小規模な会社のようだが、有名な銃器メーカーであるワルサー社で競技用ピストルの製造部門エグゼクティブを務めていたピーター・レーマー氏が、「より良い競技銃を作りたい」という熱意から興した少数精鋭のメーカーらしい。


ヘンメリー

Hämmerli
Hämmerli

競技銃を中心としたスイスのメーカー。

2006年にドイツのワルサー社に買収されて傘下に入った。

ヘンメリーは「ゴルゴ13」などで名前を見かける優秀なメーカーだが、日本ではややマイナーな存在のような気がする。



パルディーニ

PARDINI
PARDINI

 

イタリアの射撃競技の代表選手だったG.Pardini氏が興したスポーツピストルのメーカーが元になっており、現在では射撃競技用を中心とした銃器の製造を行っている。世界100カ国以上に輸出されているとのこと。

イタリアはベレッタなど有名な銃器メーカーのある国でもあり、侮れない。





エアライフルの選定

どのモデルを選ぶか悩むのは大変だが、楽しい時間でもある。特に私は何かを始めようと思い立ったら、まず道具や装備から入るタイプなので、銃砲店や射撃協会の方々に根掘り葉掘りお聞きしながら、楽しんで進めていった。追加した用具類も然りである。

私は射撃に関してはまだ素人なので、どのメーカーのどのモデルを選べばよいかなど技術的にレベルの高い話はできない。

しかし、身体障害者が選ぶ際に自分なりに留意したこともあるので、それについて述べてみたい。

いずれにせよ、所持許可は「1銃1許可制」なので、一度許可を受けた銃を変更するにも手続きが必要となる。使用する銃は慎重に選びたい。

 

メーカーイメージとデザイン

メーカーのイメージや道具の見た目は大切である。

私は子どものころから銃器に関心があり、映画やドラマに登場するGunのメーカーやモデルについてはそこそこ詳しかった。そんな私がエアライフルのラインアップを眺めていて思ったことは、「ワルサー社は競技銃も作っているんだ」ということだった。

銃器やミリタリー関連に興味がある人なら、ワルサー、ルガー、コルト、ベレッタ、ブローニング、シグザウエル、ステイヤー、モーゼルなどの銃器メーカー名に反応することだろう。

このうち、ワルサーとステイヤーは競技用のエアライフルも作っている。当然、私はこの2社のモデルに興味を持った。

特にワルサーは、ロゴマークが、私が子どものころに知っていたものと変わることなく同じマークだった。そんな単純な理由でワルサーに強く惹かれていくのだった。

 

今も変わらない、カール・ワルサー社のロゴ

最終的に私はカール・ワルサー社のエアライフルを選んだのだが、診断書を書いてくれた医師に所持許可証を見せて報告したら、「ワルサーって、今でも銃を作っているんですね」と言われ、何だか嬉しかった記憶がある。


 

エアライフルのことを調べていると、先輩射手たちの多くがファインベルクバウを使っていることに気付く。銃砲店のカタログでも常に中心に据えられ、パーツなども豊富のようだ。デザインもなかなかおしゃれで、かつ格好も良い。シェアが圧倒的だということもあって、ファインベルクバウにも強く惹かれたのだった。

持つならワルサーかファインベルクバウかな。

なんとなく勝手に絞り込みながら、さらに調べは続いた。

 

重量

銃砲店からもらったカタログやメーカーサイトなどを眺めていると、それぞれのモデルで本体重量が微妙に異なっていることに気付く。それも4.0kgぐらいから5.0kg近いものまで幅があるのだ。(競技射撃のルールでは最大重量5.5kgまで。)

すでにビームライフルをやっていた私は、銃の重さにかなり敏感になっていた。ビームライフルに使用される銃も、銃弾が発射できないこと以外は実銃と同じスペックになっており、その重量は4.7kgあると聞いていた。肘射ちで構えているだけでもそこそこ大変であるうえに、自分の銃を所持したら、それをケースに入れて持ち運ばなければならないのだ。それを考えると、100gでも軽いほうがいいなと思ってしまう。

エアライフルには、たとえばファインベルクバウ社にジュニア用のモデルがあり、これだと3.5kgぐらいだ。しかし、射撃をする際には軽すぎるのも不都合が生じる。体育館のビームライフル一般公開で、ジュニア用の銃を撃たせてもらう機会があったのだが、肘射ちでもなんとも締まりがなく、重さがないために逆に銃が安定しなかったのだ。

というわけで、重すぎるものは避けるとして、極端に軽いものを選ぶべきではないということが分かったのだった。

 

当時の銀座銃砲店のカタログによると、ファインベルクバウのアルミストック・トップモデルが4.7kg、ステイヤーでも4.5kgだったと思う。そんな中でワルサーのLG400はアルテックエキスパートで4.4kgほど、アナトミックエキスパートだともう少し軽い(いずれもアルミシリンダ装着時で、スチールシリンダだと300gほど重くなる)。

重量の点でもワルサーにますます惹かれていくのだった。

 

銃弾の装填方法

競技用のエアライフルは、ペレット(銃弾)を発射するたびに1発ずつ装填口に挿入する。その装填方法はメーカーによって大きく2つに分かれるのだが、身体、特に指先が不自由な射手にとって、これは重要なポイントなのだ。

 

装填方法のひとつは、銃身の穴にペレットを入れて、コッキングレバーを締める方式。

この方式が採用されているのは、ファインベルクバウ、アンシュッツ、ステイヤーなど、ほとんどのメーカーである。

 

もうひとつは、銃身の手前にあるレール状の溝にペレットを置いて、コッキングレバーを締める方式。

コッキングレバーを締めることで、コッキングボルトが溝に入ったペレットを銃身に押し込んでくれる仕組みだ。

この方式を採用しているのは、私が知るかぎり、ワルサーとテスロだけだ。

 

ペレットはとても小さい上に、方向性もあるので、摘み上げたペレットを正確に穴に入れるのは健常者でもまごつくことがあるという。特にグローブをしていたり、手が悴(かじか)んでいたりすると難しいことがあると聞いている。

その点、ワルサーのように溝に落とすだけでよいなら、ペレットの方向さえ間違えなければ大丈夫ということになる。おまけにワルサーでは、装填した状態でインジケーターが赤く表示されるので、装填の有無を目視確認することもできる。

 

実際、銃砲店(エニス)の方にも、指に問題があるなら、ペレットを落とすだけで装填できるワルサーが便利だと、お勧めいただいた。

埼玉県身体障害者ライフル射撃連盟の事務局長さんからは、オリンピックやパラリンピック選手も多数使用しているファインベルクバウであれば間違いありませんとお聞きしたが、同時に、小さな弾を掴みにくいようであれば、ワルサーが装填しやすいというお話を伺った。

やはり、装填に関しては譲れない重要な項目だと理解し、もともと気になっていたワルサーを購入することに決心したのだった。

このことは、実際所持してみて改めてよかったと思っている。向きさえ間違えなければ、ペレットを溝に落としてコッキングレバーを閉じるだけでよい。実に簡単な作業である。

 


銃身の穴に装填する例

この筒状の装填口にペレットを挿し入れる。画像の右方向が発射方向になる。 

(画像:ステイヤー公式サイト STEYR Challenge E)

STYER Challenge E 装填口
STYER Challenge E 装填口


溝に落として装填する例

溝にペレットを置いてコッキングレバーを閉じる。写真はペンでインジケーターを押さえて、装填状態を示している。

(画像:銀座銃砲店コラム Walther LG400 Anatomic Expert)

Walther LG400 Anatomic Expert 装填口とインジケーター
Walther LG400 Anatomic Expert 装填口とインジケーター


右か左か

右手で引き金を引く射手(=トリガーハンドが右手の射手)を右射手と呼ぶが、標準で用意されているのは右射手用モデルである。左射手の場合は、左右兼用モデルの設定があればそれを購入するか、左射手専用モデルを購入しなければならない。左射手用の在庫が希少であることが多いので、早めに在庫確認することが必要だ。また、左射手用モデルは料金設定が右射手用と異なる場合がある。

左右どちらの手も使える場合は、効き目との関係もあるので、利き手だけで左右を選んではいけない。原則として、右射手は右目で照準し、左射手は左目で照準する。視力の矯正程度で済むならば、射撃用のグラス(眼鏡)も使うことができる。場合によっては利き目を優先して決める。

 

左射手用は何が違うのかと言うと、まずコッキングレバーの取り付け位置が左側になる。コッキングレバーというのは、エア射出スタンバイ状態にすると同時に、ペレット(銃弾)を装填し、次弾を発射できるようにするために操作するものだ。銃の中でもっとも頻繁にかつ大きく動かす部分である。

このほか、グリップ(引き金を引く手で握る部分)の形状が左右逆になる。 また、メーカーにもよるが、チークパッド(頬付けするパーツ)も左右逆に付く。それ以外の部分、たとえばバットプレート(肩に当てるパーツ)の形状やトリガー(引き金)の向きなどは、モデルによっては左右関係なく自由に微調整することができる。

私が購入したワルサーLG400では、コッキングレバー、グリップ、チークパッドを左仕様にしてもらった。ただし、このうちコッキングレバーは購入後も射手が任意に左右付け替えることができるようだ。

 

私の場合はもともと右利きであったが、事故により身体に障害を負って右手が使えなくなって、左手に利き手交換を行っている。トリガーを微妙なコントロールで引くことができるのは左手となり、ビームライフルも右利き用を左手で使って練習していた。

利き目の判定方法は他のサイトに述べられているとおりであるが、それに従うと、私は右目のほうが利くらしい。しかし、指の機能のことを考えると右では撃てそうにない。幸いなことに、目も右目よりは左目のほうが視力も見え方もよかったので、銃は左利き用(左射手用)を探すことにした。慣れてくると大きな問題は感じなくなっていた気がする。

 

幸い、ワルサーの輸入代理店である銃砲店(國友銃砲火薬店)に、LG400 Alutec Expertで左射手用として提供できる在庫があるという。このモデルはグリップサイズがMのみの設定とのこと。チークパッドやバットプレートも身体に合わせて細かく調整ができるということで、このモデルでお願いすることになった。(メーカーによって異なるが、グリップのサイズにSやMの設定があったりする。ドイツ製のためかMでもじゅうぶん大きい。)

銃砲店に希望する銃の在庫があるということは、すぐにでも所持許可申請ができるということなので、これは大変ありがたいことである。特に、憧れのワルサー製で、左射手用の銃に在庫があるというのは、まさに運命の出会いとしか言うほかはない。

 


譲渡等承諾書の入手 ~エアライフルの購入方法~

実銃のエアライフルを購入する際は、 所持許可を取っていない段階では、銃砲店でお金を払えばすぐにお持ち帰り~というわけには行かない。購入前に、該当する銃砲の所持許可を取得しなければならないのだが、その所持許可を申請するために「譲渡等承諾書」という書類が必要となる。これを銃砲店から入手して、所持許可の申請書類に添付しなければならない。(知人などから譲り受ける場合も現所有者にこの書類を発行してもらう。)

「譲渡等承諾書」には銃番号(製造番号)まで記入しなければならないので、購入する銃器のモデルを決めるだけではだめで、入手する個体まで特定しておかなければならない。つまり、所持許可を申請する前に、購入する銃器を予約して確保しておく必要があるということだ。(その前に大前提として、猟銃等講習会の初心者講習を受講して修了証明書を取得しておく必要がある。有効期限は3年間だ。)

銃砲店に希望する銃器の在庫がない場合は、メーカー(主に欧州)から取り寄せとなり、そうなると数ヶ月かかることもある。購入する銃器の個体番号(銃番号)まで特定できればよいが、それが判明するまで所持許可申請はできないということになるので、ことは深刻である。

譲渡等承諾書
譲渡等承諾書

譲渡等承諾書入手の手順

私は、ワルサー社の輸入代理店である國友銃砲火薬店から購入したが、そのときの手順を紹介しておこう。

店舗には赴くことなく、すべてメールや郵便などのリモートでやり取りしている。

つまり全国どこにいても、購入手続きをすることができるわけだ。自宅の近くにエアライフルを取り扱う銃砲店がなくてもあきらめることは無い。

 

まず、銃砲店にて希望する銃の在庫確認や納期が決まったら、購入する意思を伝える。

① 銃器等予約申込書の記入・・・購入者

銃砲店の「銃器等予約申込書」に記入して提出する。

 

② 上記書類と【講習修了証明書のコピー】と【所持許可証(顔写真の面)のコピーまたは住民票や運転免許証等住所確認の書類のコピー】の返送・・・購入者

初めて所持許可を申請する場合は所持許可証は持っていないので不要だが、講習修了証明書に住所が記載されていない場合は、身元確認のため住民票か運転免許証などのコピーが必要となる。

上記①と②の書類については、メール添付で銃砲店宛に送信してOKだった。

 

③ 予約金の支払い(銃代金全額支払っても構わない)・・・購入者

譲渡等承諾書発行前に予約金として、1~2割の入金が必要となる。

私の場合は、銃砲店が提示した1割程度の金額を指定の銀行口座に振込んだ。

 

④ 銃器等予約申込書と必要書類、予約金の支払いの確認後、譲渡等承諾書の発行・・・銃砲店

譲渡等承諾書は郵送で原本が送られてくる。

今回は2通届いたが、東京都の場合、申請に使用するのは1通でよい。

 


所持許可申請から銃砲入手まで

⑤ 所轄の警察署への所持許可申請・・・購入者

銃砲店発行の譲渡等承諾書を含む、所持許可申請書類一式を警察署へ提出する。

所持許可証を手にするまで、銃砲店には途中経過などを報告しておくべきであろう。

今日申請書が受理された、ガンロッカーの立ち入り検査があった等。

 

⑥ 所持許可が下り次第連絡・・・購入者から銃砲店へ

所持許可が下りたら担当警察官から連絡があるので、その旨、銃砲店に連絡する。

 

⑦ 残金の入金(残金がある場合)・・・購入者から銃砲店へ

所持許可が下りたことが分かった時点で、銃の代金の残金があれば、銃砲店に全額振込む。

所持許可証は警察署にすぐに受け取りに行こう。警察署では記載事項を確認して、受領印を押して受け取るだけである。

 

⑧所持許可証の送付/返送・・・購入者⇔銃砲店

警察署で所持許可証を受け取ったら、所持許可証の原本(コピーはダメ)を銃砲店に送付する。

レターパックや簡易書留など記録が残る形で発送しよう。

銃砲店にて所持許可証(原本)の確認ができたら、こちらへ返送されてくる。

なお、この時点で所持許可の有効期限は3ヶ月なので、その期限までに銃器を購入し、警察署で確認手続きを受けること。

 

⑨銃器の引渡し・・・銃砲店から購入者へ

その次はいよいよ注文した銃が宅配便で届くことになる。

私の場合は佐川急便の送料着払いで送られてきた。最もワクワク、感動する瞬間である。

早い目に中身や付属品について確認しておこう。見慣れないパーツやグッズもいっぱい入っている。

届いたら、同封されている「受領証」に記入して、FAXで銃砲店宛に送付しておく。

(エアライフルを入れるソフトケースも早めに購入しておくこと。所轄警察署へ銃器を持参して確認手続きを取るために、ソフトケースは不可欠である。)

 

⑩警察署での銃器の「確認」・・・購入者

銃砲店からエアライフルを受け取っただけで安心してはいけない。この段階では、まだ所持していることにはならないのだ。

銃を受け取ってから14日以内に住所地を管轄する警察署(所持許可証を受け取った警察署)にエアライフルと所持許可証を持参して、許可証に記載しているとおりのエアライフルに間違いがないかの確認を受ける必要がある。(遅れると不法所持になる。)

主には、銃の型式(プレチャージ式)や銃番号(シリアル番号)などをチェックされ、銃の全長と銃身長を計測される。私の場合は、ちょうど担当警察官が異動になるときだったせいかもしれないが、新旧2名の警察官が立会い、交通事故の実況検分に使うような何十メートルもある巻尺で1メートルほどのエアライフル銃の計測をしていた。

確認が終わると、所持許可証の「確認欄」に日付が記入され、公安委員会の印が押される。

これで、晴れてエアライフルの所持許可者となるのだ。

 

ここまでの手続きを完了してから、射撃場でデビューすることができるようになる。

いやしかし、エアライフル本体以外のグッズもこれから揃えなければいけない。ここまで来たら慌てることはない。すぐに必要になるもの、必要に応じて揃えていくものなど銃砲店や先輩方に相談しながら、それらも楽しんで買い揃えていこう。