エアタンク(エアボンベ)にはエア充填容量の違いで種類がいくつかあるが、それ以前に容器の材質の違いにより鋼製(スチール製)容器とカーボンFRP複合容器の2つに分かれる。それぞれの長所と短所を理解して、どちらの材質のものを選ぶか検討する必要がある。
いずれもエアライフルのシリンダに充填する場合は、常用充填圧力300気圧のものが必要となる。ちなみにスキューバダイビングに使用されている普及型のタンクは200気圧のものが多いそうだ。通常、エアライフルのシリンダには200~300気圧の空気を充填するので、それだとパワー不足というわけだ。(300気圧対応のタンクでも実際に入れられるのは250気圧程度だ。)
さらにタンクの口には開閉バルブが必要だ。バルブにはKバルブやヨーク式など3種類ほどあるが、エアライフルにはKバルブと呼ばれるものが使いやすいようだ。ハンドルの径が大きく充填空気量を微量にコントロールできる。
なお実際の使用に際しては、バルブにアダプタを装着しなければならない。
・鋼製(スチール製)容器
長所:高圧ガス保安法(容器保安規則第24条)により5年ごとの再検査を受けなければならないが、再検査さえ受ければ使用期限の制限なく使い続けることが可能。
短所:重量が重く、持ち運びが容易ではない。新古品を見つけることが難しい。新品は高価。
コメント=エアタンクを持ち運ぶ必要がなければ、中長期的に見ればお買い得。
容量は8L(リットル)のものが主流で、重量は充填状態で15.5kg(容器単体重量:12kg)である。
なお、製造日が1989年3月以前のものは3年ごとの検査が必要となる。
・カーボンFRP複合容器
長所:比較的軽量でハンドリングが楽である。新古品や中古品が見つけやすい。スチール製に比べて割安な価格。
短所:高圧ガス保安法により3年ごとに再検査を受けなければならず、製造から15年経過したものは使用が禁止されていて、廃棄処分しなければならない。
コメント=スチール製より軽量のため、狩猟などで持ち運びの必要がある場合は重宝かもしれない。新古品や中古品も見つけやすく、お試し感覚なら良いかもしれない。
容量は4.7L、6.8L、8.5Lなどがある。
ちなみにFRPとは繊維強化プラスチックのことである。
私はスチール製の8Lを購入した。シリンダへのエア充填は自宅でしかやることはないので重量は問題にならない。再検査の間隔もカーボン製より長いし、検査を受け続ければ恒久的に使用できるからだ。
検査日(年月)は、再検査のたびに本体(肩部)に打刻されていく。古い日付が製造日となる。銃砲店などで新品で購入しても、在庫日数の関係上、次回検査までの残日数にバラツキがあるが、これはやむを得ない。
購入時の梱包箱やベルトは、空気再充填や再検査のための発送で必要なので、捨てないようにしよう。
なお、これら以外に、アルミニウム製容器のものがあるが、耐久性に問題があるらしく、エア再充填を受け付けてくれなかったり、検査の頻度が多かったりと不都合が多いようなので、避けるべきである。ネットなどで中古品を探す場合は特に注意が必要だ。
また、購入の際(中古品を求める場合は特に)は、最終検査日がいつか(カーボンFRP容器の場合は製造日も)をチェックすることと、200気圧以上の充填(できれば300気圧、ゲージ圧力29.4Mpa=300kg/cm2)ができるかもあわせて確認しよう(最高充填圧力)。Kバルブが付いていると理想的だ。
最近は、エアライフル向けと称してエアタンクを販売している銃砲店やダイビングショップのサイトをいくつか見かけるが、多くは狩猟用のエアライフルを対象としているので、競技用エアライフル所持者が初めてエアタンクを購入する場合は、アダプタ類(接続器具)の問題をクリアしなければならないので注意が必要だ。
注)空気圧の単位について、1気圧(工学気圧)と1bar(バール)は厳密にいうとイコールではないが、ここではほぼ同じレベルとして説明している。
ゲージ圧力1Mpa=10.2kg/cm2。
インターネット上でエアライフル(空気銃)用のエアタンク(ボンベ)を検索すると、いくつか見つけることができるだろう。しかし、その多くは狩猟用のエアライフルを対象としたもので、私のような競技用のエアライフルに使用している記事やショップはほとんど見つからないと思う。
狩猟用も競技用も、使用するエアタンクやバルブは同じものでよいのだが、エアシリンダに繋ぐコネクタ類について素人の私は、何をどうすればよいか分からず不安だった。そこで、エアタンク業者の「ISE安全装備」さんにメールで相談したところ、「狩猟用と競技用の違いは承知していないが、同社の代理店である銃砲店に相談していただければ解決するでしょう」というお話を頂き、都内の銃砲店を紹介していただいた。2店あったが、そのうちお付き合いが長いという「浜田銃砲店」とコンタクトを取ることにした。
浜田銃砲店の社長さんは大変親身になって相談に乗ってくださった。そもそも浜田銃砲店はクレー射撃などの散弾銃を扱う店で、エアライフルの取扱いもあるが狩猟用のものであり、競技用のエアライフルは扱っていないようだった。しかし、こちらの事情を説明すると、ワルサー社のエアシリンダに接続可能なコネクタを探したいので、エアシリンダを送って欲しいと言われ、送付すると、色々走り回って使えるものを入手してくださったのだった。(以下、価格等は変更の可能性があるので、各サイトで確認してください。)
画像:ISE安全装備
私が浜田銃砲店を経由して購入したISE安全装備のスチール製8LエアタンクLHT8030。Kバルブつき。(1年有効の1回無料充填券が付いていた。送料負担要。)
ただし、これだけではダメで、加えて、タンクからエアシリンダへ充填するための接続用アダプタやコネクタ類が必要となる。
エアタンクにはKバルブという仕様のバルブが取り付けてあり、黒いハンドル(つまみ)を回すと空気が噴出する仕組みだ。このバルブの接続口に①MDEアダプターというものを装着する。このアダプタには、エアシリンダと同じインジケーター(メーター)が付いていて、シリンダ内のエアの充填状況が分かる。
MDEアダプターはいわゆる充填アダプターというもので、日本国内では英国のダイビング機器メーカーMDE社(Midland Diving Equipment Ltd.)の充填アダプターが主に使われていたため、MDEアダプターと呼ばれるようになったらしい。
最初、エアシリンダに付けるフィリンクコネクタの形状によっては、MDEアダプタを必要とせず、直接フィリングアダプタをKバルブに接続できるかもしれないとのことだったが、ワルサー社の競技用エアライフルのコネクタのサイズが大きくて、そのままでは繋げないことが判明。社長さんは国産でワルサー社に対応できそうなアダプタを見つけてくれた(31,000円+税)。それで販売元へ出向いて使用可能な物かどうか確認したいとのことで、私のエアシリンダを送付することとなったのだった。
浜田銃砲店の社長さんは、最近(2017年当時)まで販売されていた大型のアダプタで、ワルサー社のエアシリンダとKバルブを直結させることを想定していらっしゃったようだが、調査の結果、それが製造中止となっており、現行品は仕様変更によりMDEアダプタを利用するものとなっていたとのこと。価格に変更はないが、写真のように、Kバルブに①MDEアダプタを接続した上で、②変換コネクタと③ワルサーフィリングコネクタを繋いで使うということで、問題なく充填できることが確認されたのだった。
(③フィリングコネクタは銃器購入時に1個同梱されていたが、今回もうひとつ増えることとなった。フィリングコネクタはシリンダに直接つけるもので、銃砲店カタログなどでは「エアアダプタ」と書かれている場合もある。たいていは銃器購入時に付属してくると思う。別途購入の場合は、銃器メーカーによって異なるが5,000円前後。
なお、最も悩ましいのが②変換コネクタで、エアライフルのメーカーによって形状が異なるので、それぞれあったものを見つけなければならない。)
一式に掛かった代金(2017年1月24日)
・空気充填アダプターセット 33,480円(MDEアダプタ+変換コネクタ+フィリングコネクタ)
・スチール製タンク8L 129,600円
合計 163,080円(税込み、8%当時)
ワルサー社の場合だが、エアシリンダとMDEアダプタの接続は、下記の写真のとおり各パーツをネジ留めでしっかり接続する。なお、写真ではエアシリンダも接続しているが、この状態だとエアが抜けてしまう。シリンダは最後に接続しよう。
使用方法の順番としては、⑤のエアシリンダはフィリングコネクタから外した状態で、
1)まず「MDEアダプター+変換コネクタ+フィリングコネクタ」の3つのパーツを接続する。私は、この3つは接続したままで保管している。
2)次にMDEアダプターの②接続口を、エアタンクのKバルブの接続口に押し当て、①固定用ハンドルを回してしっかり固定する。この接続口を通してエアが噴出される。
3)このとき、MDEアダプターの④のエアリリース用ネジはしっかりと閉まっていることを確認しておく。このネジは狩猟用エアライフルなどに充填するときに使用するもので、ワルサー社のエアシリンダに充填する場合は最初から最後まで締めたままにしておくこと。シリンダを接続した状態でこのネジを開けると、シリンダ内のエアが抜けてしまう。
4)フィリングコネクタ部分にエアシリンダをしっかりとねじ込んで接続する。接続が完了すると、残エアがある場合、MDEコネクタの③インジケーター目盛がエアシリンダの目盛と同じになる。
5)エアタンクのKバルブの黒いハンドル(つまみ)をゆっくりと緩めてエアを出す。この際、③インジケーターの目盛りを常に確認する。ハンドルはゆっくり開けないと、一気に目盛りがあがってしまう。300barのエアシリンダーやMDEアダプタのインジケーターには350barまでの目盛りがあるが、300bar以上はレッドゾーンだ。私の場合は250barを目処にしている。
というか、このシステムでは、最大でも260bar以上は入らない。それ以上はコネクタ・ホース内の気圧が少々高まるぐらいで、ホース内のエアはシリンダを外すときに全部抜けてしまうので、結果的に無駄になる。
6)目盛りが250barあたりまで上がったら一度バルブを閉じて、しばらく待つ。シリンダが少し熱くなるが、冷えてくると目盛りが少し下がって落ち着いてくるので、不足分があればエアを継ぎ足し充填する。(季節や室温によってMAX充填量が変わる。)
エアシリンダにも⑥インジケーターが付いているので、その目盛りも確認する。
7)充填が完了したら、エアタンクのバルブをしっかりと閉めてから、⑤エアシリンダをフィリングコネクタからすばやく外す。もたつくとエアが漏れることがある。外すときにエアが大きく漏れる音がするが、そのほとんどはMDEアダプタおよびホース内にあるエアが抜けているだけである。(④のエアリリース用ネジは最後まで締めたままにしておくこと。)
8)シリンダを外したら、MDEアダプタをKバルブから外す。Kバルブの接続口部分には付属のゴムカバーを掛けておく。
以上でエアシリンダへの充填は完了である。
*ワルサー社のフィリングコネクタはエア抜きを兼ねているので、そのまま単独でシリンダに繋ぐとエアが抜けてしまう。
逆に、エア抜きするときはかなりの勢いで抜けるので、シリンダをしっかりホールドしよう。
高圧ボンベ(エアタンク)は高圧ガス保安法により、鋼製(スチール製)容器は5年ごと、カーボンFRP複合容器は3年ごとに再検査(耐圧・バルブなどの検査)を受けることが義務付けられている。
検査は指定の業者に任せることになるが、私が購入した会社のサイトによると、納期はエアタンク受取後1-2週間で再検査と空気充填をして返送してくれるとのことである。この会社「ISE安全装備」では下記のような料金設定をしている。
画像:ISE安全装備
「ISE安全装備」での再検査の価格表。
私が購入したスチール製8Lタンクの場合、「11,900円+10%消費税1,190円+会社への送料」で再検査と空気充填して返送してもらえるということになる。
もちろん、再検査期限までにタンク内のエアを使いきった場合は、空気充填のみもしてもらえる。
ちなみにパッケージの大きさは120サイズである。発送伝票の品名には「スポーツ用品」と記載し、取り扱い注意を「精密機械/天地無用」で送る。
画像:ISE安全装備
「ISE安全装備」での空気充填のみの価格表。
ちなみに納期は受け取り後営業日で3日以内で発送、持込の場合は30分程度だそうだ。もちろん、使用期限が過ぎた容器やアルミニウム容器への充填はできない。
なお、最初にエアタンクを購入したときに1年有効の充填1回無料券が添付されていたのを思い出した。
COVID-19の感染拡大がやや落ち着いて、射撃場も通常営業に戻りつつあったので、久しぶりに射撃場へ出向いた。その準備に空のエアシリンダにエアタンクから空気を充填したところ、ちょうど250barまで入ったところでタンクが空になったようだった。
私の鋼製タンクは5年ごとに再検査してもらう必要があり、その期限が迫っていたので、再検査に出すことにした。エアタンクは安全装備さんから銃砲店経由で購入したものだが、空気の充填や再検査は直接の取引となる。再検査に出すと、空気の充填は無料でやってくれる。
早速メールで問い合わせたところ、再検査はいつでも受け付けているとのことで、2021年11月05日(金)に宅配便(送料元払い)で安全装備さん宛てに発送した。購入時の梱包箱とベルトを装着した状態で、発送伝票の品名には「スポーツ用品」と記載し、取り扱い注意を「精密機械/天地無用」にする。重量物だが、120サイズで発送できた。送料は同じ関東圏内なので、1,550円だった。
1週間ほどで返送できるとのことだったが、ちょうど1週間後の11月12日(金)に再検査完了のメールが届いた。
代金は、佐川急便の代引き、または銀行振り込みとなり、どちらも金額に差はない。本州宛て返送の場合、再検査料10,000円+送料1,900円+消費税10%=13,090円である。 (返送時の伝票の品名欄には「鋼製エアタンク」と記入されていた。)
なお、このタンクを購入したのは2017年1月下旬だったのだが、今回再検査に出して初めて知ったこととして、製造年月は2016年7月だった。従って、有効期限満了は2021年7月ということになる。つまりは期限が過ぎても検査してもらえるということだ。
エアタンクはかなりの出費となるが、体力と時間を使うポンピングに比べると、その快適さは比較にならない。特に体が不自由な身としては、ハンドポンプでエア充填するのは不可能に近く、エアタンクは無くてはならない存在である。もちろん、健常者の方にもお勧めする。
エアシリンダに継ぎ足し充填をすることも可能なので、私の場合、射撃場へ行く前日にシリンダ(300bar)のインジケーターをチェックし、残量が180bar以下になっていたら、250barあたりまでエアを継ぎ足し充填している。夜寝る前にひょいと作業できるのでお手軽だ。セッティングを含めても5分と掛からない。まさに天国と地獄だ(笑)。湿気の混じらないクリーンな空気を入れるので、シリンダやライフルにも優しいと思う。
なお、エア(空気)は周囲の気温の影響をかなり受けるので、夏と冬ではエアシリンダの充填圧力に差が出るようだ。当然、気温が低い冬場は、夏よりも低くなる。
すべてではないが、エアタンクを備え付けている射撃場も存在していて、有料または無料で充填させてくれる。
たとえば広島県のつつが射撃場では、1回100円で充填させてくれるようだ。私が所有しているエアタンクだと20回程度充填が可能なので、この金額だと割安だと言える。フィリングアダプタは各メーカーの物が用意されているようなので、いざというときも便利そうだ。
目黒区立中央体育館では、2020年7月より、目黒区ライフル射撃協会会員のみ、ARの場合1シリンダ200円で充填可能となっている。
葛飾区総合スポーツセンターでは、葛飾区ライフル射撃協会会員ならば無料で使えるとのことだが、200barのタンクなので、150barぐらいまでしか入らないようだ。
MDEアダプタとコネクタ類を保管しているケース。特にホースは破損しやすいと言われているので、クッション入りのケースに入れて、丁寧に保管している。
まったくの初心者が、見よう見まねでエアライフルによる標的射撃を始めてみた。ほとんど独学状態で、しかも身体に障害アリ。
こんなことで大丈夫か?
アレコレもがきながらも、楽しんでいる様子をご覧ください。
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