射撃競技とは、銃器を用いて標的に対して射撃を行うことで点数を競うスポーツである。
使用する銃器の種類(空気銃・装薬銃・散弾銃)などにより様々な形状の競技がある。
近代オリンピックでは、初回開催から競技種目として採用されている。
参考にWikipedia「射撃競技」より、2016年リオデジャネイロオリンピックにて実施された射撃競技について記す。
このうち「エア」と付いているのが空気銃である。
<ピストル射撃>
ラピッドファイアーピストル(男子のみ)
フリーピストル(男子のみ)
エアピストル
スポーツピストル(女子のみ)
<ライフル射撃>
スモールボアライフル(3姿勢・伏射。伏射は男子のみ)
エアライフル
<クレー射撃>
トラップ
スキート
ダブルトラップ(男子のみ)
*冬季オリンピックではバイアスロン (ライフル)が行われる。
実のところ、射撃競技としては、現在オリンピックで行われている種目はごく一部に過ぎない。
これ以外に例えば、ライフル射撃にはラージボア(大口径)があるし、エアライフルにもランニングターゲットやベンチレストなどがある。射撃競技は多彩である。
数ある射撃競技のうち、ここではエアライフル(空気銃)による標的射撃競技を取り上げてみたい。
競技種目として行われているエアライフル射撃は、口径4.5mm(Cal.177)の鉛の銃弾(ペレット)を、10m先に設置された固定標的に向かって、圧縮空気または不燃性のガスの圧力によって発射して、その命中精度を競うスポーツである。
火薬を使う装薬ライフルは、第一回のアテネオリンピック(1896年)から正式種目として採用されているのに対し、エアライフルは、1984年のロサンゼルスオリンピックから正式種目として採用されている。現在では、世界的に(装薬の)銃規制の意識が高まりつつあり、2021年の東京オリンピックでは、エアライフルの種目が増やされている。
ちなみに、所持許可を必要としないビームライフルは日本で開発されたもので、国内では1975年の三重国体から正式種目となっている。現在のところ、まだオリンピック正式種目にはなっていないが、IOCが若者に親しみやすい競技を模索していることもあり、将来的に採用される可能性を秘めている。実際のところ、近代五種のピストルはレーザー式のものが使われている。
エアライフル(空気銃)には種類があるが、10m標的射撃競技に用いられるものは精密射撃用に作られたものだ。
単に「エアライフル」と言うと他に狩猟用のものも含まれるが、それらは10m標的射撃競技には使われない。
照準器(サイト)は倍率の無いものが装着されている。単発式で銃弾は1発ずつ装填する。
2013年より実施されているISSFルールにより、1つの競技では予選から決勝まで同じライフル銃を使うことになっているなど、使用する銃器についても国際ルールで細かく規定されている。
使用する空気銃弾はペレットと呼ばれる鉛製のもので、口径(=銃身の内径)4.5mm、全長5.5mm、重量0.5g前後のものだ。標的射撃用のものは、ヘッド部分がフラット(平ら)になっている。
(注:市販の空気銃弾には径が4.48、4.49、4.50mmのものがある。)
ちなみに、口径はCal.177とも表示されるが、Cal=Caliberは英語で「口径」という意味で、数字は「0.177」インチであることを示している。映画などで「22口径の拳銃」というのを聞くと思うが、「口径が22/100=0.22インチの拳銃」ということである。
標的は円形の物を固定して使う。中心に当たるほど高い得点が与えられる。数字は点数を示す。中央のドットに当たれば10点だ。
最も外側の円の直径は45.5mm、黒い円の直径は30.5mm、真ん中の9点圏の円の直径は5mmほど、ど真ん中の10点ポイントは0.5mmである。これを10m先に設置する。わずか10mと思うかもしれないが、写真の黒い円形部分(4点~10点圏)は10m先だと点にしか見えない。
数字はそれぞれの点数を示すが、9点圏には数字の表記がなく、10点圏は白点のみである。
写真はエアライフル用の紙標的のものであるが、国際競技などでは電子標的が採用されており、昨今では国内の射撃場にも電子標的が普及しつつある。
ちなみにエアピストル用の標的は、エアライフル用とは異なるものを使う。
公式ルールの射撃姿勢について説明しておこう。
健常者も身体障害者も、使用する銃器や銃弾(口径4.5mm)は同じもので、距離(10m)や標的も共通している。
両者の間で何が違うかというと、射撃をするときの姿勢である。
健常者が射撃をするときは、次の三姿勢である。
競技会ではいずれかの姿勢に限定した試合が行われており、水泳の自由形のようにどんな撃ち方でもよいという種目は無い。
<立射(S=Standing)りっしゃ>
両足で直立した状態で、銃を構えて撃つ。
身体の向きは標的に対し90度横向きに立ち、右利きの場合、左の腰を少し前に突き出すようにして左肘を骨盤に乗せて構える。3姿勢のうち最も不安定で難しい射撃姿勢であるが、それだけに射撃競技らしい醍醐味があるように思う。
<膝射(K=Kneeling)しっしゃ>
しゃがんだ状態で、片膝を立て、その脚に肘を委ねて撃つ。ニーとも呼ばれる。
<伏射(P=Prone)ふくしゃ>
床に身体をうつ伏せに寝かせ、両肘をついて撃つ。プローンとも呼ばれる。
小口径ライフル射撃では人気がある種目のようだ。
(参考:日本ライフル射撃協会 公式サイト「基本のルール」)
それぞれ細かな規定があるので、公式サイトをご覧いただきたい。
なお、ビームライフルのみ、テーブルに肘を付いて撃つ、肘射(T=Table、ちゅうしゃ・ひじうち)がある。ビームライフル初心者向けの撃ち方で、この姿勢で大会参加や段級審査を受けることもできる。
障害者射撃の姿勢については、こちらにまとめておく。
立射の場合、射座のラインを足で踏んだり越えたりしてはならないが、銃器の先やシューティングスタンドがラインを越えることは許されている。
立ったままの姿勢で銃を置くために、シューティングスタンドを使用する。スタンドの高さは射手の肩の位置を超えてはならないというルールがある。
標的には円形の的があり、同心円の中心に当たるほど点数が高くなる。外側から内側に向かって1点→10点となり、最も中心部分のドット(点)部分が10点圏で、直径0.5mmである。1点圏の円の内側に当たらなければ0点である。
射撃結果は口径の4.5mmの穴(円)で弾着が表示されるが、点数計算に際しては、弾着の円周部分のうち最も中心点に近いところがどこにあるかで採点される。
正式な競技会では、得点は小数点1位まで表示され、銃弾1発の射撃結果について、満点は10.9となる。0.5mmの中心点に触れているか、あるいは射抜いていれば10点となるが、さらに弾着がどのぐらいセンターを捉えているかを小数点以下で表すのである。
なお、ビームライフルなどでは、小数点以下を表示しない場合もある。
紙標的に空気銃弾を撃ち込むと、口径と同じ大きさの穴があく。この位置によって採点を行う。
写真の例では、右の弾着が8点で、わずかに9点に届いていないので8.8ぐらいだろうか。
左の弾着はよりセンターに近いが、10点のドットをぎりぎりで捉えていないので9.9ぐらいになろう。もしドットをかすっていれば10.0点となるはずだ。
このように、紙標的の場合は目視で計測しなければならず、正確を期するために採点ゲージという道具が使われる。
一方、電子標的の場合は、システムが自動で判別し、即座に点数表示してくれる。(紙製の標的は使わない。)
電子標的の場合、標的に空気銃弾を撃ち込むと、手元のモニターに瞬時に弾着と点数を表示してくれる。紙標的は使わないので、結果を手元に残したい場合は、記録出力(印刷)を行う。
射撃開始前の電子標的の様子。
標的内の数字は点数を示す。紙標的と同じく、9点圏には数字の表示は無い。写真では、ある程度の拡大表示のため、10点圏も小さな円で表示されている。
(写真は、伊勢原射撃場のMeyton Elektronik製)
赤い円が弾着を示す。51というのは51発目という意味である。10点圏を覆っているので得点は10点となり、さらに中心にどれだけ寄っているかで小数点以下が採点される。
写真では、10.4点と採点されている。
31発目の弾着は10点のドットを捉え、わずかに下に寄ってはいるが、10.9点の満点と採点された。
公式競技におけるルールの詳細については、日本ライフル射撃協会などの公式サイトを参照していただきたいが、ここではごく基本的なルールを説明しておきたい。
<立射のルール>
3姿勢のうち最も基本的な競技である立射について説明しよう。
射距離は10mで標的はエアライフル用のものを使う。
合計60発を撃ち、得点の上位から順位が決定される。
60発のうち、10発を1シリーズとして、計6シリーズ行う。
点数は、1発の満点が10.9点で、かける60発だと総得点の満点は654点となる。
時間制限があり、60発を1時間15分(電子標的)で撃ち終えなければならない。
<ファイナル>
60発終了の時点で、得点上位者から8名がファイナルへ進む。
選手は250秒(4分10秒)のうちに立射で5発を2回撃つ。
次に50秒で1発ずつ撃ち、計12発を撃ち終わった時点で得点最下位者(8位)が脱落する。
以降、2発ずつ撃っていき、勝ち抜きの形態で順位が決定する。同点の場合はシュートオフを行う。
以上は公式競技における試合運びで、一般射撃も障害者射撃も大きな差は無い。
ただし、規模が小さな競技会などではファイナルを行わず、時間制限を設けて計60発で点数を競うことがある。この場合、女子の大会、またはビームライフルなどでは制限時間を短縮し、計40発で競うこともある。
*一般射撃 基本ルール(日本ライフル射撃協会)
*障害者射撃 基本ルール(日本障害者スポーツ射撃連盟)
射撃競技において、競技種目はしばしば英数字を並べた略称で紹介される。
ロジックは簡単で、たとえば次のようなものである。
AR60=エアライフル60発 男子(Man)*Mをつける場合もある。
AR60W=エアライフル60発 女子(Woman)
AR60WJ=エアライフル60発 女子ジュニア(Woman Junior)
BR40WJ=ビームライフル40発 女子ジュニア(Woman Junior)
AP60=エアピストル60発 男子(Man)
また、これらに射撃姿勢(S立射/K膝射/P伏射/T肘射)が添えられる場合もある。
ARS60=エアライフル立射60発 男子
BRT60MW=ビームライフル肘射60発 男女
競技会の実施要項などでは、種目欄に「10m」とだけ記載されていることがある。10mというのは射撃距離を表し、射撃競技において10mで競うのは空気銃だけなので、エアライフルまたはエアピストルの競技種目ということになる。
細かくは、たとえば、次のような意味になる。
10mS60M=エアライフル立射60発 男子
10mS40W=エアライフル立射40発 女子
10mP60MW=エアライフル伏射60発 男女
10mAP60MW=エアピストル60発 男女
10mAP40W=エアピストル40発 女子
ちなみに、10m以外の場合では、
50mP60MW=小口径装薬ライフル50m伏射60発男女
50m3x20MW=小口径装薬ライフル50m三姿勢20発男女
という意味である。
身体障害者射撃については、使用する銃器は共通だが、射撃姿勢やルールに関して若干の相違がある。
詳細は本サイトの「障害者射撃」のページを参照のこと。
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