エアライフルは所持許可を得るまで、自分の手に取ることはできない。他人の物はもちろん、家族が所有している物も指一本触れることは許されない。銃砲店に出向くことができる人は、実物を見ながら説明を聞けるが、遠方の人にとってはそれも難しい。身近に指導者や先輩方がいない場合は、結局、何も分からないままエアライフルを選び、購入し、使うことになる。
エアライフルには様々なメーカーがあり、それぞれが複数のモデルを出している。細部に異なるところはあるが、基本的なことは共通しているのではないか。エアライフルを所持する前に、少しでも情報があれば何かの助けになるはずである。そんなわけで、私が所有しているエアライフルについて、あれこれ書いてみることにする。
私自身、これ以外のエアライフルを所持したことは無いので、正確な比較記事は書けないのが残念だ。皆様からの情報があれば、ぜひお願いしたい。
私が2016年に京都の國友銃砲火薬店から購入したのは、ドイツのワルサーLG400アルテック・エキスパート(左射手仕様)だ。
選定に至った経緯と理由については、本サイト「エアライフル選び」のページを参照いただきたい。
画像:Carl Walther 公式サイト&Catalogue 2015/2016(Unless otherwise mentioned)
画像:國友銃砲火薬店
LG400シリーズは、LG300シリーズの後継として、機関部のすべてをリニューアルし、2010年の末ごろに日本で予約販売が開始された。
LG400シリーズには4つのモデルを基本として、様々なバリエーションが展開されているが、日本国内の銃砲店で主に取扱いがあるのは、アナトミック・エキスパートとアルテック・エキスパートだ。
いずれも左射手用は別発注となり、グリップ、チークピース、コッキングレバーが変更される。
ごく最近、LG400シリーズにMonotecというモデルが追加された。日本でも2019年7月ごろから国内の銃砲店で取扱が始まっている。LG400シリーズのいっそうの健在ぶりを見たようで、嬉しく思う。
なお、Monotecモデル発売によって、ラインナップされているシリーズ名に変更があったようで、現在は下記の通り。
アナトミック・エキスパート → アナトミック
アルテック・エキスパート → エキスパート
私が購入したときの付属同梱品について記しておく。
見慣れないパーツがいろいろあって、形状からは何がなにやら検討もつかない物ばかりだった。ネットで調べてみても詳しく書いているページもない。実際に射撃を始めてみて、他の射手の銃を見たり、先輩方に話を聞いたりするうちに少しは分かるようになってきたように思う。ここでは、私なりに理解した知識をメモ代わりに書いておこうと思っている。
同梱されていた取扱説明書はLG400の4モデル共通のものだが、國友銃砲火薬店が翻訳した日本語版も添付されていた。また、これはサービス品だと思うのだが、208ページもある分厚い技術書『ウェイズ・オブ・ザ・ライフル』(Wege des Gewehrs日本語版)も同梱されていた。これはライフルショップエニスで5,238円で販売されている、ドイツのライフル射撃の詳細な技術書である。
同梱品の内訳についてはメーカーやモデルによって違いがあると思うが、少なくともエアシリンダー1本とガンケース、そして最小限のツール類は付属しているはずだ。
・アルミニウム エアシリンダー(300bar、シルバー)1本
これにエアを充填し、銃身の下部にねじ込んで装着する。
・キーロック機能つきハードガンケース(トランクケース)1個
かなり大型の樹脂製のケースで、クッションの内張りがあって内容物を衝撃から守ってくれる。ロック機能も付いている。乗り物に搭載したり、宅配便で送付するときに使う物で、普段使いには重過ぎて不便だ。
・ガンケース用キー 1個
ハードガンケース用の単純なキーがひとつ付いている。
・リアマイクロサイト(インサイトアウト)1セット
INSIGHT-OUT Competition sightというマイクロサイトが付属しており、上下左右に着弾点の調整ができる。ヘンメリーのマイクロサイトの技術が使われており、移動距離が正確に設定できる。
・フロントサイト(セントラスコア)1セット
centraというメーカーのフロントサイト(Foresight)で、純正付属品のサイト径はM18だ。
黒い縁が付いているほうを射手側にして取り付ける。
・バットプレート 1セット
centra MEC製のContact IIIというモデルのバットプレート(Butt stock)が装着されている。体に合わせて前後上下に細かく調整できる。
・ハイサイトブロック 前後各1
centraのブロッククラブというハイサイトブロックがフロントサイト用x1、リアサイト用x1付属している。最近ワルサー社で付属品として追加されたものだとのことだ。
ハイサイトブロックはサイトの高さを嵩上げするためのもので、セントラのブロッククラブはチューブ(柱)を継ぎ足すことで10~22mmの間で4mmごとに高さを変えることができる。
・嵩上げ用ネジチューブ 4個
ハイサイトブロック(ブロッククラブ)に継ぎ足すための予備チューブ。
・クリーニングキット 1セット
銃身に通してクリーニングするためのワイヤーと紐(スペアコットン)のセット。
独英2ヶ国語併記の説明書つき。
・フォアエンドウエイト(50g)2個
フォアエンド(前床)に取り付けるウエイト(おもり)。
・バレルウエイト(30g)1個
バレル(銃身部分)に取り付けるウエイト(おもり)。
・フィリングアダプタ(エア充填用)1個
エアポンプやエアタンクからエアシリンダに空気を充填するときに、シリンダに接続するアダプタ。別パーツとして銃砲店から購入すると5,000~6,000円ぐらい。
ワルサーのフィリングアダプタは空気抜きも兼ねていて、このアダプタだけをシリンダに繋ぐと空気が一気に抜けてしまう。
・ワルサー社ユバーサルツール(六角レンチセット)1個
折りたたみナイフのような、フォールディングタイプの六角レンチセットだ。6種類のサイズ(1.5/2/2.5/3/4/5mm)がひとつに纏まっているが、やや重たいので普段は使っていない。
・六角レンチ(単品)3本
L字型の六角レンチがサイズ違いで3本付属していた。
・ワルサー社アクセサリーボックス 1個
スポンジ内張り付きの樹脂製小型ケース。この中に付属品がいくつか入っていた。ワルサー社のロゴつき。
・LG400取扱説明書(欧州5ヶ国語版:独/英/西/仏/伊)1冊
LG400の4モデル共通(Alutec Expert/Alutec Competition/Alutec Basic/Anatomic)の説明書で全138ページある。
・LG400取扱説明書(日本語翻訳版)1冊
上記の取扱説明書(5ヶ国語版)を國友銃砲火薬店が日本語に翻訳したもの。すべての項目について訳されていて、挿入画像はカラーである。全24ページ。
・ワルサー社射撃テストターゲット(10m、4.49mm弾)1枚
私が購入した銃器について、台に固定して射撃テストをしたときのターゲット(標的)が同封されていた。まさに真ん中に穴がひとつだけ開いている。
・ワルサー社サービスカード(独英併記)1枚
修理に出すときの修理依頼カード。実際に修理に出す必要があるときは、購入した銃砲店経由になるだろう。
・ワルサー社エアシリンダー取扱注意書き(2ヶ国語版:独/英)1枚
エアシリンダーについて、300barのものは300bar以上入れないように。製造日から10年を経過したものは使用しないように。-20℃~+70℃の間で保管・使用するようになどということが書いてある。
・ワルサー社リアサイト調整説明書(欧州4ヶ国語版:独/英/仏/西)1部
2ツ折の紙に4ヶ国語で、リアサイトの取り付け方法と調整方法が記載されている。これを日本語に翻訳したものが「LG400取扱説明書 日本語翻訳版」にも掲載されている。
・MEC Contact III(バットプレート)説明書(独英併記)1部
LG400にはMECというメーカーのバットプレート(肩当て部分)モデル「Contact III」が装着されている。これは上下や前後など体に合わせて細かく調整できるようになっていて、可動部分がかなり多いのだが、どこのネジを緩めるとどこがどのように調整できるかを写真入りで解説している。
・日本ライフル射撃協会公認シール(2021年まで5年間有効)1枚
このシールが銃器に貼付されていないと、日本ライフル射撃協会が所管する公式大会や段級審査などを受験できない。公認シールは5年ごとに有料で更新される(エニス:手数料込み2,500円)。
・トリガーガード
トリガー(引き金)を囲むように付いているパーツで、付けていたとしても、ワルサーのものはフォアエンド(Fore-end)の陰に隠れて、目立ちにくい。また、写真では装着されている状態で写っているものが多いが、現在のセットでは付属していない。私は後日、別途パーツ購入して自分で取り付けた。
・キャリアーロッドとウエイト
チークパッドやバットプレートに必要に応じて取り付けるウエイト(重り)である。フォアエンドやバレルに取り付けるウエイトは一部付属していたが、バットプレート周りのウエイトは付属していなかった。写真では装着された状態で写っているものが多く、気になったので私も別途購入してみた。
なお、最近ルール変更があり、現在は写真でよく見かけるような、バットプレート下部から前方へのウエイト等の取り付けができなくなっているので、大会に参加する場合はバットプレート上部やチークパッド周りに取り付けることになる。
・UPサイトレーサーブロック
リアサイトを後方へずらして装着するためのエクステンションブロックである。
私は同じ用途のMEC製のもの(Tele)を別途購入した。
・セイフティフラグ
銃器を置いておくときなどに銃弾が装填されていないことを示すものである。
取扱説明書には付属品として添付されていると記載されていたが、同梱なし。銃砲店に問い合わせてみると、ルール改正により差し込み式のセイフティフラグが使用できなくなり、バレルの中を通すものに変更されてからは付属品から外されたとのことだ。
・Various tools(工具類)
・Filling adapter for compressed air pump(圧縮空気ポンプ用フィリングアダプタ)
・Operating instructions(取扱説明書)
・Plastic gun case(樹脂製ガンケース)
・Cleaning set(クリーニングセット)
・Test target(テストターゲット)
・Safety flags(セーフティフラグ)←削除
所持許可証を取得したら、銃砲店とのやり取りにより予約していた銃器を受け取ることができる。私は京都の國友銃砲火薬店より購入したので、エアライフル(Walther LG400アルテックエキスパート)を宅配便で送付してもらった。(2016年10月)
ハードケースを紙で包んで、その上からエアパッチで巻いてある。「貴重品」のシールも貼ってあった。荷物はずっしりと重たく、10kg近くありそうだ。
品名欄には「精密機器(貴重品)、要本人手渡」と書いてあり、銃器の文字はない。
配達に際して日時指定してある。
梱包を解くと、純正のハードケースが現れる。WALTHERのロゴマークがまぶしい。樹脂製のケースには取っ手も付いているが、ぶら下げてみるとかなり重く、この状態で常時運搬するには辛すぎる。キャスターなどは付いていない。
ケースの開閉部分にはキーロックするシステムが付いている。
エアライフルと対面の瞬間。ケースの内側はクッションがしっかり効いていて、銃器を守ってくれる。見慣れないパーツもいろいろ入っていてワクワクする。付属するエアシリンダーは1本だ。
ドイツのライフル射撃の詳細な技術書『ウエイズ・オブ・ザ・ライフル』(日本語版)は無料で添付していただいている。
ワルサー社のエアライフルの特徴のひとつとも言える、ユニークな空気銃弾の装填方法を見てみよう。
(以下の写真は、伊勢原射撃場にて安全に配慮して撮影したものである。)
コッキングレバーを上げると、装填口手前にレール(溝)があるのが分かる。
この溝に空気銃弾を落とし込んで、レバーを戻すと、ピンが銃弾を装填口へ押し込んでくれる。
銃弾の向きさえ間違えなければ、簡単に装填できる仕組みだ。手指がやや不自由な私にとってはありがたい。
コッキングレバーを戻して装填が完了した状態である。ワルサーLG400では、インジケーターが赤色になり、銃弾が装填された状態であることが目視で確認できるようになっている。
ただし、これを無視して2発目の銃弾の装填も可能なので、二重装填にならないように注意しよう。
空撃ち(Dry firing)機能にセットすると、コッキングを行いストライカーを発射状態にしてトリガー(引き金)を引いても、銃弾が発射されない(=エアが噴出されない)。どのメーカーも昨今のモデルであれば、この機能が備わっているようだ。
銃弾を発射(=エアを噴出)することなく、トリガーの感触を確かめたいときなどに、この機能が役に立つ。
「空撃ち」と「発射」を切り替えるには、ワルサー社LG400の場合は、装填口の左サイドにあるロッカスイッチ(写真の赤丸部分)を押すことによって行う。
前方F(Firing)へ押すと発射、後方T(Training)へ押すと空撃ちできる。なお、コッキングレバーを動かしてコッキングした状態でなければ、このスイッチは動かない。
まったくの初心者が、見よう見まねでエアライフルによる標的射撃を始めてみた。ほとんど独学状態で、しかも身体に障害アリ。
こんなことで大丈夫か?
アレコレもがきながらも、楽しんでいる様子をご覧ください。
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Un principiante discapacitado de tiro le dice cómo comenzar un tiro al blanco con rifles de aire comprimido en Japón.
殘疾人射擊初學者講述瞭如何在日本開始氣步槍射擊。
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