ガンロッカー

ガンロッカーは銃砲を収納保管しておくもので、これだけは所持許可証を手にする前に設置しておかなければならない。所持許可の審査の一環として、警察官が自宅を訪問して、ロッカーの現物と設置状況の検査を行うからだ。許可申請を提出したら(=申請が受理されたら)、かなり早い段階でこの立ち入り検査があるので、メーカーやモデルの選定、設置場所の確保などは早急にしておく必要がある。

法令により、猟銃・空気銃の所持者は、銃の修理を委託する場合や猟銃等保管業者に保管を委託する場合を除いて、銃を自ら保管しなければならない(保管義務)。そのためにガンロッカーは必要不可欠なものだ。

最初にエアライフル所持を決意し、許可申請する前に、ガンロッカーの種類と設置場所もじゅうぶんに検討しておこう。申請しても、ガンロッカー(保管場所含む)に不備があったら許可は下りない。

もし自宅内にガンロッカーを設置できないのであれば、銃砲店などに委託保管をお願いするという方法もあるが、あまり現実的とはいえない。この場合は、練習や競技会に行くたびに委託保管先へ立ち寄って銃を受け取り、終了したら真っ先に委託保管先へ銃を戻すことになる。

なお、すでに家族に銃砲所持許可取得者がいて、自宅にガンロッカーが設置されている場合でも、それを共有することはできない。所持許可者ひとりひとりが別々のガンロッカーを設置して管理しなければならない。

所持許可者ひとりが複数の銃を所持する場合は、それらをひとつのガンロッカーに保管することは可能である。


ガンロッカーの基準

自宅で保管する場合は、基準にあったガンロッカーに入れ、施錠し、自分以外のものが銃に触れたり持ち出したりしないように鍵を保管管理しなければならない。

ガンロッカーの基準

①  ガンロッカーは、全ての部分が1ミリメートル以上の厚さの鋼板で作られていること。

②  施錠した際、かんぬき機構等によって、扉の上下を本体に固定する構造となっていること。

③  外部から見える蝶番が切断又は取り外されても、扉が外れない構造になっていること。

④  設備の内部に鎖等によって銃を固定する装置を有していること。

⑤  扉を閉鎖する錠は、鎌錠等外部からの力によって容易に開錠できないものであること。

⑥  扉を閉鎖する錠は、掛け忘れ防止装置付きのものであること。

⑦  扉を閉鎖する錠は、鍵違い120種類以上のものであること。

 又は①~⑦までと同等に堅固な設備であること。

 

以上のような基準があるので、更衣室のスチールロッカーなどは、たとえ鍵が掛かるものでもガンロッカーに使うことはできない。

銃砲店でガンロッカーとして販売されているものであれば問題ないし、通販サイトでもガンロッカーと銘打っているものであれば安心できるだろう。そのようなサイトでは、「警察庁の指導の下に設計・製作したもの」とか、「銃保管庫の技術基準適合製品」とか、「銃砲刀剣類所持等取締法第10条の4(銃砲の保管)に基づき製作されたもの」などの表記があるはずだ。

銃砲店には中古品の在庫があったりするが、店頭渡しのみになることも多く、運搬方法も考えなければならない。ガンロッカーは重量が15kg以上あるので、運搬は簡単ではないからだ。


ガンロッカーの選び方

射撃団体の方にアドバイスを求めたら、余裕があれば大き目のものにするほうがよいということで、将来ライフルスコープをつけた大口径ライフルを持つようになったときのことまで考えて、幅・奥行きともに大きめの物にすべきとのお話だった。たとえ1丁しか所持しなくても、大き目のほうが出し入れしやすいし、乾燥剤なども入れやすいということだ。

 

私が購入したガンロッカーは、西尾金庫鋼板株式会社という会社のものだ。ネットで注文すると3日ほどで自宅に届けられてきた。スコープ付きも収納可能な奥行きのあるタイプで、さらに3丁用の銃架を5丁用に変更してもらった。外見は木目調になっており、46,500円とガンロッカーとしてはやや高めだが、部屋の家具と調和して暖かな印象で、気に入っている。

 

ガンロッカーは中古品も多く出回っていて、インターネットのオークションサイトやフリマサイトでも入手可能だし、銃砲店でも中古品の在庫がある場合があるので問い合わせてみる価値はある。銃砲店経由のものは問題ないが、それ以外は、現在のガンロッカーとしての基準を満たしたものであるかどうかを確認しておこう。

 

当然だが、設置予定場所とガンロッカーの外寸は良く調べておこう。高さも重量もある物なので、設置場所だけでなく、玄関から設置場所まで移動できるスペースがあるかも要チェックだ。壁面などにネジ止めする場合は、壁がネジが容易に止められる材質になっているか、壁面にコンセントや周り縁などの突起物がないかも確認しておく。背面がぴったりと壁に沿わなければ、固定するのに難儀することになる。

幅についても、扉を大きく開けられるスペースが確保できるかどうかもチェックすること。

 

近年は電子ロックが付いているものもあるようだが、バッテリー切れなどの場合、開錠できないこともあるようで、そのような緊急時の煩わしさを考えると、普通にキーを差し込んで開閉するものでよいのではないかと思う。

 

なお、ガンロッカーを購入するときは、カタログやネット情報から仕様(型番、サイズなど含む)も入手しておく。所持許可申請などの際に必要になることがある。



ガンロッカーの設置場所

たとえ家族であっても、銃に触れないよう日頃から注意しておくことが大切で、特に子どものいる家庭では、子どもが勝手に銃を持ち出すことができないよう、銃と鍵の管理を確実に行なうことが必要だ。

ガンロッカーは、銃器の盗難防止のため、人目につきにくい場所で、かつ日常の出し入れや管理がしやすい場所に設置し、ネジやボルトなどで柱や壁に固定して容易にガンロッカーごと盗み出されないようにしておかなければならない。

たとえばクローゼットの中やカーテンで目隠しをするなど、ガンロッカーはすぐにそれと分かりにくいように設置する。

ただ、人目につきにくい場所だからといって、出し入れが極端に不自由になってもいけない。日常の練習に便利なように、かつ管理がしやすく、安全に出し入れができる場所を確保しなくてはならない。当然のことだが、所持者本人が居住する建物のなかか、マンションやアパートなどの集合住宅であれば室内に設置することになっている。(敷地内でも物置小屋などは不可。)

それと、できるだけ湿気が少ない場所を選ぼう。金属製の銃器であっても湿気は大敵だ。ロッカーの中には大型の乾燥剤を入れておくとよいとアドバイスを受けて、私はピアノ用の乾燥剤を入れている。

 

2019年の銃砲一斉検査(銃検)のときに、所轄警察署生活安全課の警察官に伺ってみたのだが、ガンロッカーの固定については必ずしも壁面などにネジ止めしなければならないと言うことでもないとのこと。賃貸住宅の基準でネジ止めできない場合は、20kg以上の重りを入れておくことで代用できるということだった。20kgなんて運ぼうと思えば運べる重さだが、盗難防止の意思表示があるということが重要のようだ。なお、ガンロッカーとは別に「20kgの重り」を用意して欲しいという意味だそうだ。

もちろん、これも他府県の警察本部管下では考え方が異なるかもしれないので、事前に担当警察官に相談してみるとよいだろう。(地域差があるので、ネット上で相談しても意味はない。)

 どうしてもガンロッカーを設置できないと言うことであれば、銃砲店などの合法的な保管委託業者に預けるしかない。


ガンロッカーの共用禁止

銃本体と同じく、ガンロッカーも家族などと共用することはできず、自分専用のものでなければならない。たとえば、夫婦それぞれが銃砲を所持する場合は、各人が別にガンロッカーを設置して、各々でロッカーの鍵を管理しなければならない。つまり、少なくとも所持者の数だけガンロッカーが必要となるわけだ。 ひとりで複数の銃を所持する場合は、すべてをひとつのガンロッカーに保管してもよい。


銃器の保管

ガンロッカーには銃器を立てて保管する。私は底面に低反発ウレタンを重ねて敷いて、クッションとしている。

銃器銃弾が装填されていないことを確認する。

エアシリンダは外しておく。シリンダを外した状態でファイアリングモードで引き金を引いてエアを抜く(射場で行っておくべき)。

空撃ち機能(トレーニングモード)がある場合は、そちらにセットする。

サイト(照準器)については、少なくともリアサイトは外して別に保管している。

湿気の予防に、ピアノ用の大型乾燥剤を入れている。この乾燥剤は入れっぱなしにするのではなく、ときどき干して復活させなければならない。カメラを保管するような防湿機能付きのガンロッカーは、現在のところ販売されていないようだ。

ガンロッカーには、盗難防止措置としてトリガーガードに通すチェーンが付いているが、エアライフルの場合はトリガーガードが付いていないか、あるいは開放部分があったりして、その多くはチェーンを通す意味がない。私の銃も同じで、チェーンは使っていない。所持許可更新の際に担当警察官の立ち入り検査を受けたが、特にこの部分についての指導は無かった。


空気銃弾の保管

空気銃のみ所持する場合は、散弾銃や装薬ライフルで必要な装弾ロッカー(火薬類保管庫)の設置は義務付けられていない。

ただ、地域によっては、装弾ロッカーの設置を推奨しているところもあるようだし、少なくとも空気銃弾の保管方法や場所に関しては、ガンロッカーの立ち入り検査の際にあわせて検査されると心得ておこう。

私の場合も初回のガンロッカー立ち入り検査の際に問われたので、手提げ金庫を用意し、その保管場所も外からは目立たない家具の中へ収納することとした(結果2回も立ち入り検査を受けることとなった)。この場合、鍵が掛かる場所が望ましく、あるいはチェーンなどで固定するほうがよいという指導があった。空気銃弾であっても、少なくとも銃器と一緒にガンロッカーの中に保管することは避けるべきである。