運搬の工夫

銃砲やサイト類は精密機器であり、少しの衝撃で調整が狂ったり破損したりする。運搬には慎重を要する。

また、許可を受けた銃砲は、許可を受けた者以外は指一本触れることも許されず、たとえケースやバッグに収納したとしても、代わりに人に持ってもらうことはできない。特に運動機能や筋力に障害のある身体障害者の場合は、重い銃砲を如何にして運ぶかが大きな問題となる。

 


銃砲を持ち運ぶ場合

基本

<基本>

銃砲を運ぶ場合は、銃刀法によりバッグやケースなどに入れて、外から見えないようにしなければならない。

さらに、競技用の空気銃は精密機器でもあるので、本体に衝撃を与えないようにクッションが付いたバッグやケースに入れるべきである。エアライフルは散弾銃のように2つに分解できないので、長いまま持ち運ぶことになる。

現在使われているケース(バッグ)はハードケース(トランクケース)とソフトケースがあり、セミハードケースという物も存在する。

ハードケースは、エアライフルを購入したときに付属品として添付されている。このケースは自重だけで3-4kgはあり、日常的に運搬に使用するのは不便で、宅配便で発送したり、遠征で航空機に載せたりするときに使う。

日常的にはクッション入りのソフトケース、またはセミハードケースを使う。ジッパーによって開閉し、バッグのような取っ手が付いている。さらにショルダーストリングのある、肩に担ぐことができるようになったケース(バッグ)が一般的である。また、背中に背負うことができるようになっている物もある。これらのケースの自重は1-2kgぐらいだろうか。

なお、運搬の際には、少なくともリアサイトは取り外して別のケースに入れておく。

 

比較的軽量で、ハンドリングしやすいガンケースは、ライフルショップ・エニスのセミハードケースがお勧めだ。肩にかけたり、背中に背負うこともできる。外寸が長すぎないので、背負ったときのバランスも良く、車椅子に乗ったままでの取り扱いもしやすい。

ENNIS セミハードガンケース
ENNIS セミハードガンケース
ガンケース比較
ガンケース比較


身体障害者の運搬

<身体障害者の運搬>

制作中

身体に障害がある人が如何に銃砲を持ち運ぶかに正解はない。障害の部位や程度などは人それぞれに異なるので、それぞれが最適と思われる方法を模索するしかない。問題は銃砲を入れたガンケースの長さと重さだ。

銃器はガンケースに収納した状態であっても、他の人に持ってもらうことは銃刀法で禁じられている。身体障害者でも例外ではない。なので、健常者以上に運搬の工夫が必要となる。

 

車椅子で運搬する場合、膝や肘掛に装備のバッグを置いて、その上に銃砲が入ったケースを置いて移動することが多いようだ。私は、車椅子で移動する場合、ケースを立てて両脚の間に挟むようにしている。もちろん、落とさないようにベルトをしっかり掴んでおく。

徒歩で移動する場合は、ケースをバックパックのように背中に背負い、銃だけの場合は杖を持ち、装備がある場合は荷物のカートを杖代わりにして歩く。

多少歩行が可能な人は、キャリーカートや台車のようなものに一式を積んで動かすことも可能だろう。

やはり銃が重くて歩くのが大変なので、運搬方法についてはずいぶんと悩んでいる。キャリーカートに括りつけることやカゴ付きのカートに入れてみることなどアレコレ想像してみた。ガンケースは長いので、同じ長物としてゴルフバッグを運ぶカートが使えないかとも思った。いずれもまだ実践していないが、今後の課題である。

 

運搬に関しては、障害のある他の皆さんの実例や経験談を伺ってみたい。私が銃砲の所持許可を申請するにあたって、もっとも悩まされたことのひとつだ。


車載時の注意

<車載の注意>

車のトランクルームなどの荷台は想像以上に衝撃が加わるものである。以前、引越しの際、2つに折った毛布の上にビデオカセットデッキを裸で置いて移動したことがあるが、そのせいで動作不良を起こすようになってしまっていた。自家用車はサスペンションがじゅうぶんに機能していて、クッション性があるように思われがちだが要注意である。

少なくともトランクルーム(荷台)に入れるときは、ハードケースに入れておくべきだろう。

クッションのあるソフトケースに入れて運ぶ場合は、人間が座るリアシートに載せよう。できればザブトンなどのクッションを敷いておく。

私の場合は、2017年にライフルショップエニスから発売されたセミハードケースに入れたものを、ロングクッションを敷いたリアシートに寝かせて置くようにしている。車の大きな揺れで滑り落ちたりしないように、前方にバッグを置いて固定している。もちろん、運転するときは大きな段差など超えないようにし、高速道路なども飛ばさない。とにかく衝撃を避けるようにしている。


用具運搬用バッグ

私が現在、実際に使用しているバッグを紹介する。

一般射手はウェアなどの荷物が嵩張るので、スーツケースを利用している場合が多いが、幸か不幸か、私は一般の射手のように嵩張るウェアやシューズを使っていないので、今のところ下記モデルのようなバッグで用が足りている。

<SWANYスワニー ティノ・サコ D-288 L21>

台車が付いたキャリーバッグは数多く存在するが、ポイントとしてはバッグじたいの重量ができるだけ軽いことと、容量が大きいことだ。スワニーのバッグは、もともと介護用品なので、キャリーカートの支柱が丈夫なのもありがたい。




<Cache Cacheカシュカシュ 口枠リュック型キャリーバッグ>

上記のスワニーのバッグとほぼ同じサイズ感のキャリーバッグだが、背中に背負えるベルトが特徴だ。考えたのは、車椅子の背もたれに引っ掛けられないかということで、簡易電動車椅子の移動で重宝するはずだからだ。(2018/02/18-6800M)


画像:aiai web channel



<ミズノ バックパックN-XTボックス型 30L 33JD1001>

床においても自立するタイプで、上蓋を開けるとざっくり物を入れられて便利だ。車椅子の後ろにぶら下げて運搬できる。

表地: フェイクレザー

 

タテ52cmxヨコ33cmxマチ18cm

ポケットの数:7(外側6/内側1)

重量:800g

画像:Amazon



銃砲を発送する場合

銃砲をオーバーホールなどのメンテに出したり、修理に出すなどの際に、銃砲店へ送付する場合について述べる。

銃砲を銃砲店に送付するには、クロネコヤマトやゆうパックなどの宅配便(記録に残る方法)を利用することが可能で、この手順は銃刀法に抵触するものではないとのこと。手順の詳細は銃砲店の指示に従っていただきたいが、流れとしてはおおむね次のようなものである。
(所持許可を取得していない個人などの相手に送付することは違法である。)

 

1)送付することを事前に銃砲店に伝える。

2)銃本体と必要な付属品に加えて、メーカーや代理店の保証書をできる限り添付する。

プリチャージ式のエアシリンダを同梱する場合は、付属のシリンダアダプターも必要になることがある。同梱物のリストも添えておくと良い。

3)猟銃・空気銃所持許可証の「住所氏名の記入があるページ」と「送付する銃の許可記載ページ」のコピーを同封する。記載事項を変更している場合は「記載事項変更欄」のコピーも必要である。

なお、所持許可証の原本は同封しない。

4)故障やオーバーホールの場合は、問題のある箇所や症状を書いたものを同封する。

5)梱包は、購入時に付属してきたメーカーのハードケースに入れる。メーカーの箱がない場合は、ハードガンケース等に入れ、段ボール等で包むなどケース破損防止措置を施しておく。

6)宅配便の発送伝票の内容物欄には「スポーツ用品/精密機器/こわれもの」と記入する。

銃砲とかライフル銃などと記載しないこと。エアシリンダなどの付属品類を送るときも同様である。

7)発送するときは、宅配業者の営業所や郵便局へ直接持ち込むか、自宅まで集荷(引き取り)にきてもらう。コンビニなどの取次店に持ち込んではならない。

8)発送時には、新品購入時価と同等の運送保険をかけておく。

9)発送したら、発送伝票のお客様控えを必ずもらい、運送会社名とお問い合わせ伝票番号を送付先(銃砲店)へ連絡する。この番号により、運送状態(いま何処にあるか)を追跡することができる。

宅配便だと、早ければ翌日、遅くとも翌々日には届けられるはずである。

 

(参考:シースジャパンNSK公式サイト 「オーバーホールに伴う銃のご送付方法」)