エアシリンダー

高圧空気をエネルギー源としているエアライフルは「プレチャージ式(圧縮空気式)」と呼ばれていて、高圧のエアを蓄えるシリンダーを装備している。以前は200barのものが主流だったようだが、近年は300barのものが普通に存在している。材質はアルミ製またはスチール製などがあり、スチール製のほうが重い。

どのエアライフルメーカーの物も形状はほぼ同じで筒型をしているが、メーカー間で互換性は無いようである。エアライフルを購入すると最低1本は付属してくるが、追加で予備のシリンダを購入する場合は、メーカーや容量(200barまたは300bar)を指定する。

1回の練習射撃で120発ほど撃った場合のエア消費量は、私のワルサーLG400で50barていどだ。なので、予備のシリンダを所有してはいるが、通常の練習射撃には1本で不足を感じたことは無い。(ある年の11月に250bar入れたシリンダで、4回に分けて50発撃ったときの残量が70barほどだった。)

 

エアシリンダへのエアの充填は自宅で行える。別ページの解説のとおり、高圧エア充填用のハンドポンプを用いて、自転車のタイヤに空気を入れるような感じでポンピングして入れていくのが基本だが、これは相当な力が必要で時間も掛かる。特に筋力が弱い身体障害者はお手上げだ。

お勧めは高圧エアタンクからの充填である。自宅にエアタンクを備えておいて、都度エアを充填するのがお手軽だが、この難点は一式が高価であることだ。しかし、投資が大きいとしてもその価値は十分にあると実感している。最近は射撃場にエアタンクを備えているところもあって、無償または有償で使わせてくれるサービスもあるので、聞いてみるとよい。公立射撃場なら、有償でも1シリンダあたり100円程度だろう。

 

エア(空気)は周囲の気温の影響をかなり受けるので、夏と冬ではエアシリンダの充填圧力に差が出るようだ。当然、気温が低い冬場は、夏よりも低くなる。300bar仕様のシリンダに300bar対応のエアタンクで充填したとしても、夏場は260~270bar、冬場は250barぐらいまでしか入らない。

 

なお、ハンドポンプもエアタンクも、それ自体はどのメーカーの銃のシリンダに対しても充填可能だが、それぞれに合うアダプタなどが必要になる。また、ポンプもタンクもいくつか種類があるので、まずは本サイトの説明ページに目を通されたい。

高圧のエアは危険でもあるので、取り扱いにはご注意を。

 

(注:空気圧の単位について、1気圧(工学気圧)と1bar(バール)は厳密にいうとイコールではないが、ここではほぼ同じレベルとして説明している。)

↑ワルサー社エアライフル用のエアシリンダー(シルバー)。300barのもの。アルミ製。

メーカーによって異なるが、だいたい30,000~40,000円ていど。

↑「VERWENDBER BIS/USABLE TILL /10/025」という刻印があり、使用期限を示している。これは「2025年10月まで使用可能」という意味だ。ワルサーのエアシリンダーは製造年月から10年と定められている。



↑先端に空気圧のインジケーターが付いていて、エアの残量がひと目で分かる。写真では、200barのエアが残っていることを示している。もともと250bar入れていたもので120発撃った結果、200barとなった。

300bar以上はレッドゾーンでエアを入れないようにする。私の場合は、200~250barぐらいを目安にしている。そもそも300bar対応のエアタンクでも物理上300barまでは入らない。

グリーンの範囲(70~300bar)が有効使用可能ゾーンで、残量が下がっても一定の圧力が保たれる仕組みだ。試してみると、70barぐらいでも十分に射撃可能だった。一説によると、100barを下回った場合でも弾速に変化はなく、70barを切ると弾速が落ちてきて影響が出るらしい。

試合を考えると、試射と本射を合わせて100発ぐらい撃つには140barぐらいはほしいところだ。

広島県在住のベテラン射手M氏によると、冬場は圧力が早く低下するので、こまめに補充したほうが良いかもしれないという。ただ、銃のほうは70気圧位に調整して薬室に送り込んでいるはずなので、高圧も低圧も弾速は変わらず、速すぎると逆にサイトがずれるとのことだ。

↑インジケーターと反対側の部分をエアライフル本体に、カチッと言う音がするまでねじ込んでセットする。

ワルサー社のシリンダは、この部分にフィリングコネクタだけを装着すると、シリンダ内のエアが一気に抜けてしまう。



エアシリンダー取扱い

銃をガンロッカーに保管するときは、エアシリンダーを外しておく。エアシリンダ内にエアが残っていても、いちいち空にする必要は無い。

そもそも、射撃場に行くときはエアシリンダを銃本体から外して、別途ケースに入れている。射撃場の射座に入ってからエアシリンダを銃本体に装着する。帰宅するときはその逆で、射撃が終了したらエアシリンダを外して持ち帰る。

なお、エアシリンダを外してから、銃本体の空気抜きをするとよいとアドバイスを受けている(=ファイアリングモードでトリガーを数回引く)。

エアシリンダーとシリンダーケース
エアシリンダーとシリンダーケース