ハンドポンプ

あらかじめ圧縮した空気を使って銃弾を発射するプレチャージ式の空気銃の場合、空気(エア)を溜めておくシリンダにエアを充填しなければならない。充填方法は2種類、ハンドポンプを使って手動で入れるか、高圧のエアタンク(ボンベ)から一気に充填するかである。

ハンドポンプは自転車用のポンプに似ているが、高圧のエアを入れることができる。しかし、自転車のタイヤの空気は4気圧程度、エアライフルのシリンダは200~300気圧ほど入れなければならず、これはかなり重労働だと聞いていた。

しかし、エアタンクセットを揃えるとなるとかなり高価なので、とりあえずはハンドポンプを購入してみることにした。

 (注:空気圧の単位について、1気圧(工学気圧)と1bar(バール)は厳密にいうとイコールではないが、ここではほぼ同じレベルとして説明している。)

ハンドポンプ 英国HILL社製 AIR PUMP MK4
ハンドポンプ 英国HILL社製 AIR PUMP MK4

エアライフルを購入した國友銃砲火薬店にハンドポンプについて相談をしたところ、エアシリンダ内に湿気を含んだ空気を入れるのはできるだけ避けるほうが良いとのことで、空気の水分除去機能が付いたハンドポンプ(ドライ仕様ハンドポンプ)をお勧めいただいた。

 新製品ということで、英国の創業170年の老舗専門メーカー、ERNEST H.HILL社製のものをお試し価格で提供してくださった。

(定価は約4万円。ドライ仕様でなければ3万円以下で入手できる。)

 

カタログスペックによると、276bar(4000psi)まで余裕でポンピングできるとあり、インジケーター(気圧メーター)には300barまで表示されている。

 付け根の瓶に水分除去機能のあるドライペレット(ドライパック)を充填して使うことにより、湿気によるエアシリンダーの劣化を予防することができるそうだ。

 

購入したモデルは、「英国ERNEST H.HILL社製 エアポンプ MK4( 水分除去機能のドライパックシステム装備)」である。簡単な説明書(組み立てと操作方法)とメンテナンス用の専用シリコングリス、交換用ドライパック2袋が添付されていた。おまけでドライペレットを封入した状態で用意してくださった。本体はずっしりした金属性で自重は重いが、スタンド部分は樹脂製だった。

 

分解されて梱包されてくるが、図解入りの英語の説明書により、組み立てることはできた。このポンプは狩猟用のエアライフルにもエア充填可能だが、競技用エアライフルのエアシリンダ用の変換コネクタがあらかじめ装着されていて、フィリングコネクタをねじ込むことでシリンダに接続可能な状態になる。(狩猟用エアライフルに接続するためには、別途接続ホースが必要となるようだ。)

 

使用方法としては、スタンド基部にあるネジをしっかり締めて、フィリングコネクタにエアシリンダをねじ込んで装着して、ポンピングするだけだ。ポンプのスライド部分はかなり気密なつくりになっているようで、新品のせいか、グリスを塗ってあるとはいえ、かなり引っ掛かりのような圧力を感じる。

それでも全体重を掛けながらポンピングしていくと、ポンプのインジケーターの針が少しずつ動いているのが分かった。エアシリンダにも同じようなインジケーターが付いていて、当たり前だがポンプのそれと見事に連動している。

休み休みやってみたが、最初の日は50bar(約50気圧)で力尽きた。手のひらも真っ赤になって擦り剥けそうになっていた。

エアライフルとして使用するには200bar(約200気圧)ほど入れるわけだが、少なくとも100barを超えないと話にならない。エアが入るにしたがって、ポンピングも重くなっていく。これを繰り返すことを思うと気が遠くなりそうだった。

 

それでも、2日ほど掛けて100barを超えるに至ったが、試しにシリンダを取り外してみることにした。シリンダを付けたまま、スタンド基部のネジを開放したのがまずかった。プシュッと一気にエアが抜けてしまったのだった。慌てて締めたが、エアは30barほどに減ってしまった。私の銃(ワルサー)のフィリングコネクタはエア抜きを兼ねているのを知らなかったのだ。

正しい手順としては、エア充填が完了したら、先にエアシリンダをフィリングコネクタから外さなければならない。そして次に、スタンド基部のネジを開放して、ポンプに残っているエアを抜くのだ。

ネットでにわか勉強した情報とは異なっているので、ワルサーの銃を使う射手は気をつけよう。

 

また2-3日かけて、ようやく150barまで入れてみたが、あまりの重労働にすっかりメゲてしまったのだった。

 やはり身体障害者にはかなりの負担だ。誰か他の人にやってもらうか、エアタンクの導入を考えなければならないと思った。